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吉井和哉の1228【後編】

いざ鎌倉!ではなく、いざ後編!よろしくおねがいします!

 

2011年【Flowers & Powerlight Tour 2011 〜born-again〜】
タイトル通り、2011年を通して行われたFlowers & Powerlight ツアーのファイナルとして開催された。この年は4月から7月までのツアーに加え、東日本大震災の影響で中止となってしまった東日本を中心に回るborn againのツアーが12月に行われており、かつフルアルバム1枚とミニアルバム1枚をリリースするという、ソロのキャリアにおいてももっとも活動的な1年だったのではないかと思う。
人前に出て人目にさらされればさらされるほど輝く吉井あるあるを証明するかのごとく、鬼のようにビジュアルが仕上がっている。髪の色も長さも完ぺき、かつ明るいブルーのてろんてろんのシャツを着てインナーなし、ストールなしでステージに立っているという…夢か!夢なのか!そんなことが夢に思えた時代もあったんでございます(おばあの感想)。楽曲もツアーを重ねて磨きに磨き抜かれており、全曲高め安定で言うことなしの完成度である。FINE FINE FINEから母いすゞへの流れなど、こんな振り幅でそれがどっちもこれ以上ないほどずっぱまっているのだからすごい。褒めますね!ええ褒めますよ。個人的に今回のBOXに収録されているもののなかでももっとも人さまに安心しておすすめできる1枚である。
バンドメンバーはドラム吉田佳史、ベース三浦淳悟、キーボード鶴谷崇、ギターにバーニーのお馴染みの面々に加え、NCISからギターで生方真一が参加してくれたのが非常に新鮮だった。2011年の夏フェスからサポートに加わってくれていたが、今までのギタリストとはまた違うぐいぐいくるギタープレイで楽しませてくれている。
2011年はダチョウ倶楽部とのコラボで「マサユメ」というデジタルシングルをリリースしており、この日はダチョウ倶楽部も武道館に登場して「マサユメ」を一緒に歌ったのだが、上島竜兵さんの声がガラッガラなのがめちゃくちゃおもしろい。吉井はとにかく楽しそうで上島さんへのくるりんぱのフリまでやっている。あとふつうにかっこいい楽曲に仕上がっているのがすごいですね!
土の中にいても、花は花です。ライヴの最後に吉井和哉はこう言っている。この年のツアーはLOVE & PEACEとFLOWERが本編とアンコールの最後に演奏されてきたが、2011年というこの年に、おそらく誰もが自分の足元を見つめ直すことになっただろうし、今自分が出来ること、を大なり小なり考えることとなったのではないかと思うが、この2曲はある意味吉井の決意表明のような役割を果たしたといえるのかもしれない。この1年のかれは本当にタフで、そのタフさに助けられたひとがたくさんいたこととおもう。ソロのキャリアハイと言っても過言ではない、すばらしいライヴだった。

 

2012年【YOSHII BEANS】
2012年は直前まで.HEARTS TOURをやっていたが、12月22日の大阪城ホールでツアーファイナル、で武道館はというとなんとFC会員限定での武道館という、なんつー豪儀な!FC会員限定というだけあって恒例の生中継も行われなかった。映像もFC限定で発売されたっきりである。
直前まで行われていた.HEARTSのツアーとセットリストをがらりと変える、と宣言していて、なにが1曲目なのかなーなどとのんきに想像していたわけだが、まさかの白シャツサングラスでROMANTIST TASTEをぶちかますという最終兵器に口からエクトプラズムが出たのも今となっては良い思い出だ。武道館でオープニングにROMANTIST…なにしてくれとんじゃ!ありがとう!と言うしかない。しかも、この白いシャツの同型の黒をアンコールで着てくるという、なんなんだおまえは!できる子か!(できる子なんですよ!)
なぜBEANSなのかというと、正直よくわからないが、なぜか吉井は会員限定のライヴに食べ物の名前をつけたがるのであった。SOUP、温野菜、ぜんざい、おでん…何の統一性もないが、ともかくその流れでのBEANSなのであろう。セットリストもソロの新旧とりまぜた構成になっているが、なかでも久しぶりに披露されたFALLIN' FALLIN'は印象的であった。途中の「名前なんてないぜ ないぜ吉井ロビンソン」と歌った後、遠くをみて「元気かい?」と声をかけたのがなんとも言えずいい光景であったし、終わった後に吉井が、あれだね、フォリフォリは意外と盛り上がるんだね、とまじめな顔をして言っていたのもおかしかった。
サポートメンバーは前年に引き続き、ドラム吉田佳史、ベース三浦淳悟、ギターにバーニーと生方真一、キーボードに鶴谷崇という布陣である。
会員限定ということでいつもよりも大幅にリラックスしたふわふわの吉井和哉が拝めるので(どれだけふわふわかというとアンコールいっぱつめのバッカで盛大に音を外してやり直すほどふわっふわ)、かわいい吉井ちゃんがお好きな向きにはおすすめと言えるかもしれない。
そしてダブルアンコールではここで初披露となった「血潮」が披露されているのだが、スペシャルゲストとして沖仁さんが呼びこまれ、文字通りフラメンコギターの第一人者との共演に吉井がどしゃめしゃに緊張していたのが印象深い。この曲では鶴ちゃんもギターを弾いており、なんと吉井も含めてギターが5人!なかなかない光景である。吉井も言っていたが、1曲めがいちばん古い曲、最後がいちばん新しい曲という構成も限定ライヴらしくてよかった。
来年の同日が武道館開催ではないことはすでに告知されており、その武道館としばしのわかれ、という意味もあったのか、客席をバックに写真をとるとき、国旗を見上げてしっかりと敬礼をしてかれは去っていったのだった。

 

2013年【20th Special YOSHII KAZUYA SUPER LIVE】
10年間で唯一の非武道館開催である。場所は福岡マリンメッセ。やるからにはぜったいぱっつんぱっつんに客を入れたる!という前向きの意思表示に余念がないのが吉井和哉だし、1年前から宣伝にも準備にもおこたりなく、おまけにこのライヴのあとは後夜祭と称してZEPPかどこか(自分が興味ないとこんな記憶力しかない)でなんかイベントらしきものも開催されるというサービスここに極まれり状態であった。
2013年12月にはもうひとつさいたまスーパーアリーナで「10th Anniversary YOSHII LOVINSON SUPER LIVE」も行われて、こちらはタイトル通り吉井ソロ初期の1st2ndからの楽曲てんこもり、かつサポートメンバーにジョシュやジュリアンが来たりと文字通りロビンソン集大成であった。対してこの福岡でのSUPER LIVEについては吉井がとにかくもう、すげえのをやる、あれもこれもやる、と豪語しており、いったいなにがー!と期待半分こわさ半分で迎えたわけだが、その言に違わず、バンド時代の楽曲がROMANTIST、楽園、球根、花吹雪…と出るわ出るわ、最終的にはWELCOME TO MY DOGHOUSEとSUCK OF LIFEまで飛び出したのである。SUCKについては以前HEEFESTでいちどやったことがあったが、WELCOMEが出ますか…としばし茫然としたものであった。ちなみにSUCKの絡みではその時グッズで発売していたうまい棒をもってバーニーと絡んでいた。何を言ってるかわからねーと思うが(以下略)しかし、短期間でまったく違う2つのライヴ、楽曲も総入れ替えに近く、延べ50曲近い楽曲で楽しませてくれたところはさすがというほかない。
生中継ではなかったが、後日WOWOWで放送され、FC限定でDVDがリリースされている。吉井は珍しく黒のかっちりしたジャケットに細身のネクタイというスタイルで登場し、これもまた良い具合にビジュアルが仕上がっていてすばらしい。サポートメンバーは昨年、一昨年に引き続きドラム吉田佳史、ベース三浦淳悟、キーボード鶴谷崇、ギターにバーニー&生方真一という鉄壁の布陣。これだけの長きにわたって一緒にやっていると、やはりいろんなところで化学反応が起きてくるもので、このメンバー全体がひとつの生き物みたいな存在感を感じることができたライヴでもあった。個人的にはリリース時にはそれほどピンときていなかったWINNERはドラムのキックのよく効いたこのアレンジで一気にお気に入りに浮上したようなところがある。このメンバーによって磨かれてきた楽曲なんだと思うし、ひとによってそういう楽曲がたくさんあるんだろうなと思う。
ストリングスが入ったり沖仁さんがふたたび来てくれたり(福岡まで!ありがとうございます)大勢の人に吉井和哉のシンガーとしての誕生日を祝ってもらえて、ファンとしてもうれしくたのしい1日だった。自分としては、とうとう悲しきASIAN BOYのフタが開かれてしまうのではないかという予感がはずれ、安心したような、さびしいような、でもやっぱり安心したような気持ちになったことを思い出すライヴでもある。

 

2014年【YOSHII KAZUYA SUPER LIVE 2014〜此コガ原点!!〜】
吉井和哉2年ぶりの武道館は11月にリリースしたカバーアルバムを大フューチャーしたライブとなった。なんとセットリストの半数がカバー曲、かつストリングスが入ったりホーンが入ったり少年少女合唱団がやってきたりと総勢60人にも及ぶという大所帯ライヴである。
このカバー曲てんこもりの武道館だったり相前後したカバーアルバムの連続リリースがファンにとって諸手を挙げての大歓迎、という雰囲気と程遠かったことを意識してか、自ら「不評だった」といってしまう吉井和哉であるが、でもね吉井ちゃん!考えてもみてほしい!オリジナルよりカバーの方が評判よくてもうどんどんカバーだけやってればいいヨ!みたいな反応だったらYOUもっとヘソ曲げちゃうでしょ!?
この年はほとんどライヴが行われなかった(12月にYOSHII APPETIZERと称して広島、仙台、川崎でライヴが行われたのみ)こともあり、私にとってもまるっと1年ぶりの吉井和哉であったし、そういうファンも多かったのではないかと思うが、だからこそこの日のライヴでカバー曲の間に差し挟まれるオリジナル曲への飢えがすごかった。この「待たれている」感たるや。
そういえばアンコールで「アバンギャルドで行こうよ」をやっているのだが、恒例のおそそを笠置シヅ子先生に敬意を表してと東京ブギウギとしてちゃんと歌おうとしたのに、もうおそその歌詞しか出てこないっぷりに爆笑した。そしてもはや年末恒例という気もするが、ライヴの最後には新曲が2曲披露されている。クリアとボンボヤージ。旅立ちを歌っていてもこれだけの振り幅があるのがさすが吉井和哉である。
コロムビアに復帰したあとのライヴということもあり、1996年、あのメカラウロコのときの、コロムビアを離れたときのことをふり返っていたのが印象深い。あの時最後に歌ったのは楽園だった、これから楽園を目指すんだという気持ちでいたけど、でも振り返ってみれば、あの時立っていた場所が楽園だったのかなと思います、と。
それにしても、こうして振り返ってみると面白いぐらい2013年からこっちなんにでもSUPERつけたがっていて、お、おまえ…そういうとこだぞ!?と思いを新たにする次第である。

 

2015年【Kazuya Yoshii Beginning & The End】
2015年はSTARLIGHTツアーだけでなくさまざまなフェスにも顔を出していたが、この武道館公演の前にはさらに Beginning & The Endツアーの一環としてZEPP NAMBA、ZEPP FUKUOKA、ZEPP NAGOYAでのライヴが行われている。ね、皆さん、だんだん読めてきたでしょう、奴の大舞台に向けての行動パターンというやつが…。
タイトルからして不穏ともとられかねない空気があり、またセットリストをファンによる楽曲投票の上位曲を中心にやる!というような趣向が打ち出されていて、投票の途中経過は発表されていたが、最終的な全体結果は把握していない。どこかで発表されているのならばこっそり教えて欲しい。
この趣向からして当然なのだが、すべてが吉井和哉ソロの楽曲で、THE YELLOW MONKEYの曲を演奏しない2回目の「吉井武道館」となった。しかし、今セットリストを見ても並びも並んだりというソロの代表曲がこれでもかと連なる姿はいっそ壮観である。そして、もっとも票数を集めた(途中経過でも1位であった)MY FOOLISH HEARTがラストに演奏されるという構成は、こういった特別企画の元でなければ実現しなかったであろうと思われ、そういう意味でも新鮮さが際立つライヴとなった。MY FOOLISH HEARTの人気ぶりにはかつて吉井も「あんな心折れた男の歌を?」と訝しんでいたことがあるが、しかしだからこそ、これだけの時間が経っても皆に支持されているのだとおもう。奇しくも、投票結果で2位だったという「血潮」のどちらにも「怯えるな」「さよならいつも怯えていた私」と共通する単語が使われているのだった。
途中のMCで吉井が、来年の12月28日は何曜日?火曜日?水曜日?どっちにしても平日だよね?何曜日でもいいから来てねーとかわいらしく私たちを誘って、皆ニコニコと行く行く〜!と手を振り答えていたわけだけれども、この約10日後に我々は阿鼻叫喚のずんどこに叩き落され、たとえ12月28日が何曜日であっても血で血を洗う抗争が繰り広げられるであろうことを予感し打ち震えることになるのである。
しかし、今となってみれば、この先に起こることをわかっていた吉井和哉がどういう心境でこの武道館に立っていたのか気になるところだ。ソロの楽曲への、しばしお別れ、というような気持ちもあったのか、なかったのか…ともあれ、バンドの再結成を経て、新しいツアーで15周年の吉井和哉を拝めるのが、掛け値なしに楽しみである。

 

 

こうしてまとめて振り返ってみると、いやまとめなくてもそう思っていたが、ほんとうに定点観測というか、お決まりの、とか、お馴染みの、みたいなことをやらないし、できないし、したくないし、似合わないひとなんだな、吉井和哉は、と改めておもう。吉井武道館と名付けながら、後半はぜんぜんそのネーミングですらない。いっそすがすがしい。でもまさにその、転がる石のように回り続けるひとだからこそ、私はこのひとに飽きもせずついていくことになったんだなあ、とも思う。

 

逆にいえば、そんな吉井和哉が、この12月28日という日付だけは頑として守り通したこと、そのことがどれほど破格のことなのかということを考えないではいられない。2006年からついに一度も、彼はその日付を放り出すことをしなかった。それが自分のためなのか、ファンのためなのかはわからない。かつて吉井武道館のMCで語ったように、自分だけでもこの場所と日付を守っていけたら、というような使命感めいたものがあったのかもしれない。しかし何を考えていたにせよ、大事なのは、一度も放り出すことなくこの日付を守り抜き、私たちとの約束をくれ続けていたということだ。ツアーを盛んに回る年もあれば、まったくご無沙汰になる年もあったが、それでも12月28日にはこの人に会えるだろう、という約束。それがどれほどありがたいことだったか。


約束と想いのつまった特別な日付、特別な場所で行われたライブだからこそ、過去に訪れたことのあるひと、毎年欠かさず訪れていたひと、今まで訪れたことのないひと、どんなひとにも、それぞれの感慨を呼び起こす10本のライヴなんじゃないかとおもう。ぜひお気に入りのライヴを見つけ、そしてまた猫の目のように変わる吉井和哉の世界を深く堪能してもらいたい。

21:57 | comments(4) | -

吉井和哉の1228【前編】

吉井和哉さんソロデビュー15周年おめ!ということで2006年から2015年までの吉井武道館全集がブルーレイで発売されることになりました〜!やんややんや。年末恒例武道館はフジテレビNEXTとかで中継されることも多く、なんだかんだ映像が手元に残っている割に単体ライヴとして開催されたりツアーの一環だったりして正式なメディア化されたりされなかったりというアレ(ドレ)でもありました。そんなこんなをまとめてどーん!とお出ししまっすってなわけです。みんなもう予約したかな?わしはこれからじゃよ!(さっさとやれよ!)

 

こんな総まくりBOX発売に何を見ても何かを言いたがる私がこのままスルーしていいのだろうか!否!え?スルーしていい?いやまあまあそう言わず。せっかくこの10年に及ぶ1228に立ち会ってきたわけですし、10枚組ブルーレイとか言われても…!と慄いているかもしれないあなたをさらに慄かせる、じゃなかった興味を持ってもらうべくそれぞれの1228をふり返りたいとそう思っているのでごじゃいます。その場にいたひともいなかったひとも楽しんでいただけたら幸いでごじゃいます。ではいってみよっ!

 

2006年【TOUR 2006 THANK YOU YOSHII KAZUYA】 
タイトルのとおり、2006年11月からスタートしたTHANK YOU YOSHII KAZUYAツアーのファイナルとして12/27、12/28の両日開催…というのが当初の予定であったが、ツアー中盤の静岡、松山、高松が吉井の体調不良で振替となり、ツアーファイナルは翌年に持ち越されることとなった。とはいえ、バンド解散後吉井和哉がはじめて「12月28日に武道館に立った」日でもあり、ひとつの記念碑であることは間違いない。
オープニングに当時親交を深めていたKREVA作のSEが本人映像で流れるという派手な幕開け、真っ赤なジャケット、フリルシャツ、明るい髪の色など、なにしろその少し前まで「もうシャツは着ない」「もう髪は染めない」等々言い募っていたこともあり、はぁああ!よしいちゃんが!あかるくなって…!という感慨にふけったファンも多いとか少なくないとか。サポートメンバーはギターにエマとバーニー、ドラムに当時若干21歳の鈴木敬、ベースに三浦淳悟、キーボード鶴谷崇という布陣である。
終盤、バラ色の日々の前に吉井が言った「きめた!12月28日は毎年おれがここでやる。吉井武道館にする、ここを!」という言葉によって、その後10年にわたって続く「吉井武道館」がこの瞬間に誕生することとなった。
ツアーファイナルとして予定されていたからということもあるのだろうが、28日はダブルアンコールがあり、吉井和哉はそこで一人弾き語りで、解散後はじめてJAMを歌っている。今聞いてもたどたどしく、ほほえましい、とさえ言いたくなるような心もとなさがあるが、その心もとなさは吉井和哉がこのとき置かれていた状況そのものだったのかもしれないし、もっと言えばここからでなければはじめられなかったんだろうとも思う。ツアータイトルのTHANK YOUはこのJAMのときに吉井が叫んだように、これを最後に離れるBOWINMAN MUSICへの餞のタイトルでもあった。

 

2007年【吉井武道館2007】
前年の吉井のステージの宣言通り、「吉井武道館」として銘打たれた2回目の12月28日。2007年も12/27と両日開催であった。
この年の吉井武道館は単体開催ではあるのだが、秋からスタートしたGENIUS INDIAN TOUR、そして年明けから予定されていたDoragon Head Miracle TOURとあわせ、3部作として整理されている。
この頃はこうした単体のスペシャルライヴ、しかも2日連続ということもあって試行錯誤していたのか、それぞれ別の前説があったりした。27日はダイノジで、28日はなんか…牧師みたいな人(聞いてない)。バンドメンバーはドラム城戸紘志、ベース三浦淳悟、ギターにバーニーとジュリアン・コリエル、キーボード鶴谷崇。
何といってもこの年は…といっても、28日ではなくて27日の出来事なので今回のBOXには収録されないのだが(振り返る意味ない)、スペシャルゲストとしてスピッツの草野マサムネが登場し、吉井と「大都会」を歌うという大事件があった。これはその年の秋、スピッツの20周年ライヴに吉井がゲストで登場し1曲歌ったということがあって、その返礼みたいな意味合いもあったのではないかと思う。吉井がステージで語ったところによれば「デビュー15周年なんで何かやっていただくわけにいきませんでしょうか」マサムネ「スピッツは年末年始働かない主義なんで」吉井「そこをなんとか」ということで実現したとのこと。ちなみに28日も「大都会」は披露され、バーニーが見事なハイトーンボイスを響かせている。
この日の中盤のMCで吉井はこんなことを言っている。
「ほんとうに思い出の場所で、この28日はほかのひとに渡さずにせめて俺だけでもここでやり続けられたら…でもまあ、それだって、ずっとやっていればこの28日もいろんな使い方が出来ると思うし。人生何があるかわかんないからね」
この年は吉井和哉のデビュー15周年という位置づけだったこともあり、そのことについても、当然おれだけじゃなくて、THE YELLOW MONKEYのメンバーも15周年です、おめでとう!と彼は口にし、バラ色の日々のシンガロングを煽るときには、THE YELLOW MONKEYも一緒に!と高らかに声をかけ、私を涙の海に沈めた。

 

2008年【吉井武道館2008】
前年の12月28日のステージで「やっぱり28日はいいなあ!」と口走ってしまったことも理由なのかそうでもないのか、この年から2daysではなく12月28日1日きりの開催となった。いやまあ、そりゃどっちかと言われたら28日に行きますよねみんな。その代わりといってはなんだが、それに先んじて大阪城ホールにおいて「吉井城ホール」がこの年から行われている。サポートメンバーはギターにエマとジュリアン・コリエル、ドラム城戸紘志、ベース三浦淳悟、キーボード鶴谷崇。余談だが、ジュリアンはサポートにくると上手側(エマ側)のポジションになることが多かったのだが、さすがにこの時はエマが上手に位置し、不動のポジションぶりを見せつけたのであった。
この公演の映像はアルバム「VOLT」の初回限定盤にDVDが同梱されているが、ライヴの全曲収録ではない。本編は上海とCREEPが(CREEPはわかるにしてもなぜ上海も…?)、そしてアンコールはまるっと5曲収録されていない。そして2008年の吉井武道館ト・イエバ!そのアンコールで披露された「崖の上のポニョ」のフジモトコスを思い出す人も多いのではなかろうか。あまりの似合いぶりハマりぶりもさることながら、あのエマが歌ったというのもあって文字通りファン狂乱の一夜となった(本当かよ)。しかし、あのフジモトのコスをした吉井の髪の色といい長さといい、球根リリース時のまんまやんけ…となってしまい、時間が経つほどに違和感仕事して!というぐらい自然に馴染んでいたのがおそろしいところである。
なお久しぶりに映像を見返してみると、なぜ本編の吉井はずーっとサウナスーツみたいなのを羽織ってるんだろうか。すごく…暑そうです。シャツ〜お願いだからシャツ一枚になってくれ〜インナーは着ないでくれ〜と願いなのか呪いなのかわからない願をあの頃ずっとかけていたことをまざまざと思い出してしまった。
個人的にこの年のセットリストでは「天国旅行」をやったことが思い出深い。ドラムの城戸さんが公演後ブログで、エマが涙していたこと、そして当時のファンはどんな気持ちでみていたのか、自分もそうだから気持ちはわかるけど、でもアニーさんと同じようにはできないし、それでもプラスに気持ちが行くような何かが伝わればいい、と書いてくださっていた。そういう思いを持ってステージにたってくれる、そういうひとに吉井和哉の1228は支えられていたんだとおもう。

 

2009年【吉井武道館2009】
前年に引き続き大阪での「吉井城ホール」が開催されただけでなく、大阪と武道館の間にZEPP SAPPOROでのライヴも行われている。今までの吉井武道館ともっとも違う点はまず、そのサポートメンバーだろう。ギターにバーニーとジュリアン・コリエル、キーボードに鶴谷崇、まではお馴染みだが、それに加えてベースにジャスティン・メルダル・ジャンセン、ドラムにあの!ジョシュ・フリーズ!
そして、この年はセットリストにTHE YELLOW MONKEYの楽曲が1曲も入らなかった年でもあった。
吉井はソロでバンド時代の曲をやることにどちらかというと惜しみのないほうだと思われる(やらない人はまったくやらなかったりもするし)が、この年にバンドの曲をチョイスしなかったのはサポートメンバーも理由のひとつであったろうし(彼らはソロの楽曲のレコーディングを通して知り合った仲だから)、吉井としてもそういう気分だったのかもしれない。ともあれ、このすごいバンドの圧を背にがんばっている吉井が見られる貴重な映像でもある。今回が初映像化(生中継はされている)なので、BOXで初めて見るというひとも多いかもしれない。ジョシュの黄金バッドは本当に笑えるすごさなのでぜひその目で確認してもらいたい。
そして2009年の12月といえば、やはりどうしてもフジファブリック志村正彦の急逝を思い出してしまう。この年はTHE YELLOW MONKEYの結成20周年ということで、メカラウロコBOXの発売やトリビュートアルバム、さまざまな特集が雑誌やテレビで組まれるなど、一種のお祭り騒ぎのような状態だった(セットリストにバンドの曲を入れなかったのは、そういう理由もあるのかもしれない)。フジファブリックはこのトリビュートアルバムにFOUR SEASONSで参加してくれていた。雑誌の対談なども組まれ、本当に急速に吉井も親交を深めていたようだった。吉井はおそらく、城ホールのあと、札幌でのライヴの前に、このニュースを知ったのではないだろうか。
個人的に2009年の吉井武道館のハイライトのひとつは「BELIEVE」にあったとおもっていて、大阪の時、かれは今年は本当に色んな別れがあった、と語った後で、この曲を歌った。武道館では、吉井は何も言わず、ただこの歌にその思いを託しているように見えた。ひとは皆星になる そのわけは そのときわかる…。
ライヴ後のモバイルサイトで、吉井和哉は「12月28日はどうしてもTHE YELLOW MONKEYの日というのがあり、何かと比べられたり期待されたりしてしまう、毎年この日にやることを考えてみる必要がありそう」と書いており、もしかしたらこの頃から恒例の武道館、からの脱却を考えていて、それが2013年の福岡での開催に繋がったのかもしれないと今になってみれば思うところである。

 

2010年【吉井武道館2010】
12月23日の「吉井城ホール」と並んで開催。サポートメンバーはギターにバーニーとジュリアン、ベースに三浦淳悟、キーボード鶴谷崇、そして意外なことにドラムの吉田佳史がこの年はじめての吉井武道館参加となった(サポート自体はそれ以前から参加している)。吉井のソロライヴにおける鉄板のバンドメンバーがここでようやく完成をみたことになる。この年も3曲のみThe Applesの初回盤付属のDVDに収録された以外は今回が初映像化とのこと(生中継はされている)。
2006年を彷彿とさせるような真っ赤なジャケットで登場し、やっぱりお前には赤が似合うよと私を狂喜乱舞させた。2010年は通常のツアーがなく、年末単体での開催になるのかと思いきや、10月に携帯サイト会員限定ライヴツアーなるものが組み込まれ、年末に向けて完全に暖まったエンジンで現れた吉井和哉、出来る子である。
翌年の春にリリースされる予定のアルバムを控え、初披露の新曲からソロ代表曲からセットリスト的にも充実の布陣、という貫禄があり、やはりここまでアルバムを積み重ねてくると持ってる武器も増えるのだなという印象がある。毎年武道館では何らかカバー曲が披露されていたが、この年はビートルズのACROSS THE UNIVERSEを吉井作の日本語歌詞で歌っていた。そこから続いたFOUR SEASONS、おそらく、前年のことを思って選ばれたのだろうと思う。なぜなら、オリジナルのアレンジではなく、トリビュートアルバムでフジファブリックが演奏してくれたアレンジで演奏されていたからだ。今見ても、おそろしいほどの気合いを感じる、すばらしいパフォーマンスである。
モバイルサイトでチラリズムを発揮するのはいつもの吉井節ではあるが、このときは25、6のときに作った曲をやるかもかもかもというような思わせぶりぶりなことが書かれたりして、いったいなんだよ!?とファンを、というより私を右往左往させたが、ふたを開けてみればシルクスカーフに帽子のマダムという、文字通り超弩級の楽曲が披露された。しかも、そこからのアバンギャルドで行こうよ。ころす気か。シルクとアバンギャルドて!シルクと、アバンギャルドて!!!(伝われ)
アンコールラストには新曲LOVE&PEACEが披露された。最後を新曲で締めくくるのも往年のメカラウロコを彷彿とさせるし、何より楽曲が吉井らしい美しさをたたえた素晴らしい歌詞でいっぺんで好きになった。私にとってもっとも特別な「吉井武道館」である。

 

書いていたら長くなったので2回に分けます!後編は2011年〜2015年だお!
 

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黒い見世物小屋の4人

ふ、ふ、ふ、

 

フラゲ日ですよってにーーー!!!!

 

というわけでリンクはAmazonのブルーレイのほうにしていますが、FCの特別版?の方をちゃっかり買いました。残業ほったらかして帰宅してなんとか受け取れたよぜーぜー。ということでとるものもとりあえずLa.mamaでの無観客ライヴを収録したスペシャルディスクを鑑賞。

 

無観客ライヴって、吉井とか客前でこそ輝く!みたいなとこあるのに、テンションあがりきらないのでは〜?とか思ってたんですけど、それはまあ一部正しくて一部間違ってたね。間違ってたっていうか、吉井のわかりやすさが濃縮還元したような50分でしたね。最初のね、3曲目ぐらいまでは確かにモロ表情硬いし戸惑ってるっていうか若干緊張もあるっていうかな佇まいなんだけど、LOVERSやったことでちょっと落ち着いて、球根でガッと肚に力が入って、そうなったらもうあとは昇るだけでやんす〜!みたいな。もう、吉井和哉と書いてわかりやす子と読みなよってぐらいわかりやすくて笑いました。

 

いやーしかし、これ、ロックバンドのライヴをDVD化します〜というテイでやっておらず、また撮っているひとがそういうセオリー関係なく編集しているというのもあって、めちゃくちゃ新鮮でした。とりあえずアニーのファンはこれ絶対買って損ない。あんなにアニーをぐいぐい映しているライヴの映像ちょっと記憶にない。特に球根なんてアニーと吉井半々ぐらいじゃないか!?っていうかアニーが、あ、あれ?な、泣いてる!?みたいな顔してるなって思ったら撮ってるひともそう思ったのかもうそっからずーっとアニーロックオンだもの。でもって曲のアウトロでシャツ脱いでるアニーばっつりおさえてるもの。あと、よくエマがドラムに寄ってってふたりでニコニコしながらって風景はあるあるだけど、そのニコニコしてるアニーのほうだけかなり長いことロックオンしてるのも新鮮だったな〜!なんつー仏のような顔をしてわろとんのや!幸せか!そうか!幸せなんやな!みたいな顔してたぜ、あいつ。

 

個人的にはTHIS IS FOR YOUがねええ!!!!めちゃくちゃよかった…ずっと、解散している間も「もう一度聞きたかった」って思い続けた曲っていうことをなんかまざまざと思い出してしまって、飲み干したら目が回るようなこの歌をきみに、って、まさにTHE YELLOW MONKEYそのものだよな〜ってずっと思ってたな、とか考えちゃうと、涙腺がやばかったですね。メンバーの雰囲気というか空気もすごくよくて、イントロからエマがちょっとうれしそうな顔しているように見えるのがめちゃかわいいし、アウトロのふたりの!!!!あれ!!!!いやもうこれ何回も言ったり書いたりしていますけど、このTHIS ISこそよしいとえまの曲だよねって私は思うしあのエマが寄り添って、でも吉井は顔を見ないで、エマが吉井の手を追いかけて、最後吉井が振り向かないままエマのほうに頭こつんってやるの…最高!!!か!!!!最高か!!!!!やっぱりこういう狭い空間できくとまた違う空気になる曲あるんだな〜。LOVERSもやっぱりこの半地下の狭い空気だと格別の味わいがあるものなあ。

 

WELCOME TO MY DOGHOUSEは「華やかに見える道化師の黒い見世物小屋へようこそ」って歌いだしだけど、これこそまさにラママで歌うのに相応しい曲だし、インディーズの頃からやり続けて、この小さいコヤでも、それこそドームでも、このバンドの最大級のカッコよさを引き出す、引き出し続けてるっていうのがほんとにすごい。

 

Subjectiveでストリングスがホントなら入るところで吉井がもう反射的っつーか、バイオリン弾く真似を咄嗟にやったり(でも弦は鳴らないのだったw)Chelseaで手持無沙汰のあまりコーラス自分で歌っちゃったり、バラ色でいつもオーディエンスに託すところまんま託しちゃったり、そういう吉井のライヴ反射みたいなものがあちこちで観られたのも面白かったです。さっきも書いたけど、ほんとセオリー通りの撮り方じゃないので、あっヒーセってこのときこんなことしてるのか!とか最後のROMANTISTの途中でなんかヒーセとエマがアイコンタクトしてるなとか、アニーの歌うドラマーぶりが見れたりとか、エマも歌ってたりとか、ちょっといつものライヴの中継やパッケージではなかなかお目にかかれないショットがこのスペシャルディスクにはあると思います。

 

そしてわかりやす子こと吉井和哉はもう最初と最後でぜんぜん顔が違う。なんなんあいつ。やっぱりライヴで輝く人だよね。調子が出てくるといろいろちょっかいかけたり動き回ったりしたい人なんだよね。わかるわかる。

 

私はこのバンドに関しては千の言葉より1曲のライヴパフォーマンスをくれ!と思っているヲタなので、このスペシャルディスクが淡々と楽曲だけが連なっているのがすごく好みでした。まあ欲を言えばこの倍の長さがあってもいいけどってそんな尺ないですよねすまんすまん。オトトキ本編で組み込まれていたFATHERもROMANTISTももちろんよかったです。

 

あの黒い天井の小さなコヤに「今の」4人が再び立っている光景を見ることができようとは、っておセンチの花も咲き乱れそうになるけど、その花が咲き乱れるよりも早くカッコよさの興奮が猛スピードで花を散らしていくみたいな、このバンドのそういうところが私が愛してやまないところなんだなーと改めて思いました。

 

それにしても再結成後のライヴ、最初のSUPER JAPAN TOURのたまアリ以降円盤化する気配がないけど、いやいや〜〜、あんなにもれなく円盤出してくれてたのに〜〜、そんなわけないよね〜〜〜?と思ってるんですけどどうなんでしょう。メカラの27も28もあれっきりこれっきりなんてこと!ないよね!?と言いたい私である。いつ何時でもお待ちしていますよ!

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THE YELLOW MONKEYのDVDを総まくる!その21"THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2016 -SAITAMA SUPER ARENA 2016.7.10-"

2016年10月19日DVD/Blu-ray発売。再集結後のアリーナツアー「THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2016」の、全行程の折り返し地点で行われた7月10日のさいたまスーパーアリーナでのライヴを完全収録している。

 

再集結初日となった代々木第一体育館でのライヴは、1曲目のみ各メディアで生中継され、また8月3日の横浜アリーナにおけるYOKOHAMA SPECIALはスカパーで生中継されるたほか、シングル「砂の塔」のFC限定盤に熊本B.9で行われたライヴの一部映像が特典でつくなど、再集結に纏わる映像は他にもあるが、映像化第一弾はシンプルに一公演を完全収録でリリースという形になった。翌年に映画の公開を控えているため、ツアーでのオフショットやリハーサルの様子などはそちらで見ることができるのかもしれない。

 

今回のツアーでは、初日からの流れでJAMのあとメンバーが三々五々捌けていく中、最後にセンターでアニーがひとこと述べるというのが恒例になっていたが、この日彼は「おれもみんなに言われて嬉しい言葉がひとつあって。「生きててよかった」ってやつ。おれも生きててよかった。生まれてきてよかったです」と言い、満場の観客を涙の海に沈めたのだった。

 

15年ぶりのライヴのステージで、THE YELLOW MONKEYという服を着ようとしていた彼らが、自分たちの着ているものがTHE YELLOW MONKEYなのだ、という自信を身につけ始めた頃のライヴでもあり、その帰ってきたかつてのふてぶてしさと、バンドとしても初めての会場に挑む緊張感、新鮮さもあって、いろんな顔のTHE YELLOW MONKEYが楽しめる。そして何より、ここにいる彼らはほんとうに楽しそうだ。お互いの顔を見交わすショット、すれちがいざまのハイタッチ、アイコンタクト、解散前よりも距離が縮まっているのではと思わせるそれぞれの立ち位置が、このバンドに帰ってきたメンバーそれぞれの喜びを如実に表しているように思える。それを待っていたし、それだけが待っていたものだと改めて思わせてくれる作品である。

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THE YELLOW MONKEYのDVDを総まくる!その20"メカラ ウロコ LIVE DVD BOX"

2009年12月発売。収録されているのは1996年12月28日、日本武道館での「メカラウロコ7」、1998年12月28日同じく日本武道館での「メカラウロコ9」、1999年12月28日同じく日本武道館での「メカラウロコ10」、そして2001年1月8日東京ドームでの「メカラウロコ8」の4本のライヴである。ボーナスディスクには1999年12月29日のファンクラブ公演で演奏された「毛皮のコートのブルース」とメカラウロコ7のバックステージの模様が収録されており、同梱でTHE EXHIBTION AND VIDEO FESTIVAL OF THE YELLOW MONKEY メカラウロコ・15のパンフレットの縮刷版が入り、予約特典には各「メカラウロコ」のチケットレプリカがつくなど、文字通り「メカラウロコ」尽くしのDVDBOXである。

 

解散後に雑誌のインタビューで吉井和哉が「あんなのが残ってるから再結成しろって言われちゃう」などと語りながらも、「まあでもあれ(メカラ7)は完全版出すべきだね、いつか」と言っていた、そのライヴ映像が他の「メカラウロコ」と共にバンド結成20周年企画の一環としてようやく発売されたもの。

 

もともとメカラウロコとは、散々語られているように1989年に彼らが現メンバーになって初めてライヴを行った「バンドの誕生日」である12月28日に、「報われない楽曲たちの供養」として初期曲をふんだんに盛り込んだライヴをやったのがことの始まりである。12月28日に武道館でライヴをやったのは1996年が初めてではなく、1995年12月28日もFOR SEASONのツアーの一環で同日に武道館でライヴをやっているが、その時はなにもイベントめいたことはなかった。翌年に、イベンターが武道館を押さえていた日と、「バンドの誕生日」がたまたま一致していることに気がついたのが、この伝説のはじまりのきっかけである。

 

吉井和哉が「もっとも好きなライヴ」という「7」、過酷なパンチドランカーツアーの真っ最中、武道館3DAYSの3日目に前日までとセットリストをほぼ総入れ替えで行われた「9」、10周年の区切りでもあり、模索期に入っていたことを象徴するようにホーンセクションや女性コーラスを加えての構成だった「10」、そして実質のラストライヴとなった「8」。すべてがエポックなものになったこともあって、この「メカラウロコ」がファンにとって憧れと共に口の端にのぼるのも無理からぬことだろうと思う。

この記念すべきDVDBOXの解説を、元R&R NEWSMAKERの押部啓子さんが各ディスクの紹介と共に書いてくださっている。押部さんは前述の、吉井和哉が「完全版を出さなきゃ」と語った時のインタビュアーでもあった。一部を引用します。

 

“「メカラ ウロコ」は、「7」の未収録分を含め、映像がないせいで記憶や伝聞が入り混じり、解散してしまったという感傷もあいまって未だ熱心なファンの胸中にひきずるような残像を残していた。それが完全版で世の中に出る。そして今回もまた、冷静に向き合えばそこに全てがある。”

 

THE YELLOW MONKEYというのはどこか不器用なバンドだった。際立つあざやかなかっこよさだけでなく、苦しさや切なさ、その一勝一敗を閉じ込めたようなDVDBOXである。完全生産限定で製作されたものだが、再集結を機会に、ぜひ再販してほしいと思う。

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THE YELLOW MONKEYのDVDを総まくる!その19"パンドラ ザ・イエロー・モンキー PUNCH DRUNKARD TOUR THE MOVIE"

2013年9月28日に公開された劇場版を同年12月にDVD/Blu-rayで発売。DVDのみ初回限定盤が存在し、映画本編+特典映像のディスクのほかに、1998年7月のロンドンアストリアでのライヴ映像をフルで収録したディスクがついている。


劇場版本編の監督は高橋栄樹が務め、もしかしたらPUNCH DRUNKARDのツアー後に「出そうとしていた」オフショットを含む厖大な映像をこの劇場版制作にあたって見直したと述べている。中には、あの有名な「このツアーは失敗でした」発言もしっかり取り上げられているが、しかしこうして赤裸々に語られた今だからこそ、これをこうして形にするのはツアーから実に15年以上の歳月を要したというのも、わかる気がする。それほどまでにこのツアーは過酷で重く、その重き荷を背負いて長き道を征く彼らの姿は壮絶である。

 

この劇場版制作に当たって、当時のスタッフからも数多くの証言が寄せられているが、メンバー4人については2013年6月19日に都内某所でボーリングに興じながら4人が当時を振り返るというスタイルが取られており、そのどこかさばさばとした様子は、この映像における一服の清涼剤でもあった。実にこの「パンドラ」による過去の清算を経て、その約2週間後に吉井和哉は「ぼくともう一度バンドをやってくれませんか」というメールをメンバーに送っているのである。


特典映像には1998年4月の北見市民会館でのWELCOME TO MY DOGHOUSE、7月ノッティンガムでの「BULB」、そして3.10の「悲しきASIANBOY」が収録されているが、DVDとしても発売され記録にも残ってるASIANをなぜここで選んだかは、実際に観て頂ければおわかりになるのではないかと思う。

 

初回限定盤のみについている1998年7月のロンドン・アストリアでのライヴについては、「クズ社会の赤いバラ」などここでしかライヴ映像が見られないものもあり、初回限定のみというのは、なんとも惜しい。
 

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THE YELLOW MONKEYのDVDを総まくる!その18"RED TAPE NAKED"

2012年12月3日DVD発売。オリジナルRED TAPEの構成要素である1997年5月8日の横浜アリーナ、1997年9月14日の西宮球場でのライヴを、TRUE MIND NAKEDと同じくオリジナルVHSの15年後の同日である12月3日にNAKEDとして発売することとなった。

 

発売形態もTRUE MINDを踏襲しており、初回限定盤にはそれぞれの公演DVD(2枚組×2)に「THE YELLOW MONKEY1997」と題されたボーナスディスクの計5枚組、加えてハードカヴァー仕様のフォトブックが同梱されているほか、それぞれの単体公演が2枚組DVDという形でリリースされている。

 

FIX THE SICKSの横浜アリーナは当日WOWOWでの生中継が入っていたこともあり、ライヴ完全版の映像を入手していたファンも少なくないかと思われるが、映像化の際に紫の炎の西宮と「いいとこどり」になったため、逆に双方の完全版が日の目を見ることはないのかと諦めていたところ、TRUE MINDそしてRED TAPEと、かゆいところに手が届くリリースが続くこととなった。

 

バンド初のアリーナツアー、そしてさらに巨大なスタジアムツアーを収録しているだけあって、まさに頂点に駆け上がろうとしているバンドの輝きを見ることができる。初回限定盤のボーナスディスクがこれまた重厚で、約1時間5分にわたる1997年の彼らをとらえたドキュメンタリといってもいいほどのドラマ性がある。NAIのレコーディング風景など微笑ましいものから、あのメカラウロコ7のあと、年越しで特別に演奏されたLa.mamaでの「WELCOME TO MY DOGHOUSE」での無敵感、ロンドン、アストリアでの「SUCK OF LIFE」、そしてあのフジロックフェスティバルでの「TVのシンガー」「悲しきASIAN BOY」のライヴが見られるのは貴重。そしてフジロックでの出番後の吉井和哉の表情は、おそらくどんなインタビューを読むよりも、これが彼らにとって何だったかを如実に示していると思う。そしてもちろん、この映像もオリジナル「RED TAPE」とは基本的にかぶっていない(HULLを訪れた際の映像など、素材は同じなのだが、微妙に使用している部分が違う)。まったくもってファン思い(泣かせ)なバンドである。
 

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THE YELLOW MONKEYのDVDを総まくる!その17"TRUE MIND NAKED"

2012年10月21日DVD発売。オリジナル「TRUE MIND」は、1996年1月12日の日本武道館公演と、1996年7月21日のNHKホールの公演を中心に構成されていたが、オリジナルVHS発売の16年後の同日にリリースされた本作は、そのそれぞれの公演をほぼ完全収録した形で発売されている。キャッチコピーは「裸のTHE YELLOW MONKEY解禁」。

 

発売形態は、それぞれのDVD(2枚組×2)にツアーオフショットとメンバーインタビューの入ったボーナスディスクの計5枚、そしてハードカヴァー仕様のフォトブックが同梱された初回限定盤と、2本のライヴそれぞれの単体2枚組DVDでのリリースとなった。

 

NHKホールの公演の多くはTRUE MINDに収録されているが、VHS(DVD)ではエンドロールの二分割画面で流されていたSUCK OF LIFEがようやく全画面で楽しめることとなった。また、1月12日の武道館公演は、TRUE MINDで冒頭のRomantist Tasteのほか、FATHERも同日のライヴからの収録であるが、WOWOWで放送された以外はこれも日の目を見ることのなかった楽曲の多くをようやく公式映像として堪能できる。

 

初回限定盤のボーナスディスクには、1時間14分にわたりロンドンでの買い物自慢をするメンバーやツアーリハの様子、初日戸田市文化会館を始め各地でのMCがふんだんに収録されているほか、メンバーそれぞれへのインタビューが収録されているが、これがオリジナルTRUE MINDのオフショットと基本的にかぶっていないという、ファンに優しいんだか(新しい映像を見られるという点で)厳しいんだか(買わざるを得ないという点で)わからないチョイスとなっている。楽屋の畳部屋で心中ごっこをする吉井とヒーセなど、いろいろと楽しくて愉快な仲間がつまったDVDであることは間違いない。なお、メンバーインタビューはそれぞれの地元で撮影されていて、このDVDの最後で吉井和哉はこう言っている。全文、引用します。

 

“のちのち下の世代に、こんなバンドがいたんだよ
あー同じ時代に生きてたかったなって思わせたいのね
やっぱりこのバンドがなくなることが
その人にとって最大の暴力であってほしいぐらいの
バンドでいたいんですよね”

 

23:33 | comments(0) | -

THE YELLOW MONKEYのDVDを総まくる!その16"イエモン-FAN'S BEST SELECTION-"

2013年7月に発売された、ファン投票によるベスト盤。初回限定にのみDVDがついており、このDVDがなかなかレア映像の宝庫である。コロムビア社長訪問、イエローマネーなど楽しい映像が満載だが、ライヴ映像もかなり古いものから収録されており、1992年4月の大宮フリークスでのRomantist Tasteをはじめ、中津川雅彦フォークジャンボリーのSLEEPLESS IMAGINATIONのアコースティックバージョン、吉井がボウイさながらのメイクをしている日清パワステでのアバンギャルドで行こうよなど、「当時からのファンがテレビを録画したものしか見たことない」映像の連打である。TVKやテレビ埼玉率の高さはもちろんだが、中期〜後期はNHKやフジテレビ(HEY!×3)の映像も含まれており、おそらく「追憶のマーメイド」のライヴ映像として見られるのはこのPOPJAMのものだけなのではないかと思われる。

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THE YELLOW MONKEYのDVDを総まくる!その16"COMPLETE SICKS"

2010年1月22日リリース。オリジナル「SICKS」リリースのちょうど13年後の同日に発売された、完全生産限定盤。CDのDISC1はSICKSのデジタルリマスター、DISC2にはデモトラックが収録されている。

 

DVDはfragments of the SICKSとインタビューズに分かれてインデックスされており、収録時間は約2時間に及ぶ。fragmentsはそのタイトルの通り、SICKSのレコーディング風景を中心に「SICKSの断片」が収録されているもの。のちにこのSICKSの収録でアニーが「最高だね、ずっと続くといいね」と吉井に語った思い出が語られたことがあるが、まさにその「ずっとこれが続けばいい」と思わせる、ステージでは見ることのできないバンドの幸福な姿が収められている。おセンチ日記の表紙のイラストを、吉井がさらさらと書いてしまうところなど、なかなかレア。

 

インタビューズではその思い出の地を、2009年に吉井和哉がひとりで訪れた時の様子や、SICKSで数々の素晴らしい写真をものしたカメラマンの有賀さんやエンジニアの山口洲治さんのインタビューなどが収められている。個人的にレコーディングエンジニアのRichard Digby Smith氏のインタビューでの「ロビンがマイクの前に立ち感情をさらけ出して歌い出すと、私は何を歌ってるのか理解できないはずなのに理解できた気がした。彼がハートから歌っているのがわかったんだ」という言葉にはとても感銘を受けた。

 

ブックレットやケースに使われている写真のひとつひとつが素晴らしく、SICKSのキービジュアルの集大成、ともいえる美しい盤。

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